読書

アウシュヴィッツ強制収容所長ルドルフ・ヘスの数奇な生涯

ホロコーストを加害者側から紐解く 世界史に詳しくなくとも、「アウシュヴィッツ」の名に全く聞き覚えが無いという方は少数派でしょう。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った大量虐殺(ホロコースト)において、中心的役割を果たしたア…

ローマ人の物語(10)/賽は投げられた!カエサル、ルビコン渡河

革命前夜の共和政ローマ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。遅咲きの英雄ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)も、40代にして跳躍を開始。三頭政治とガリア属州総督就任で権力と…

ローマ人の物語(9)/カエサル、三頭政治とガリア遠征で跳躍

天才カエサル、ついに動く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回から、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)の生涯を追っています。「ローマが生んだ創造的天才」とまで呼ばれ…

ローマ人の物語(8)/遅咲きの英雄ユリウス・カエサル

内乱の一世紀に天才現る 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。今回からついに、ローマが生んだ創造的天才ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が登場します。 共和政ローマでは、カ…

ローマ人の物語(7)/スッラの独裁とポンペイウスの飛躍

共和政ローマ、混迷を極める 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。カルタゴとのポエニ戦争(B.C.264~B.C.146)の後、拡大する国内の経済格差を是正すべく、共和政ローマでは多くの人々が立ち上…

ローマ人の物語(6)/グラックス兄弟の改革とマリウスの登場

覇権国家ローマを蝕む歪み 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回までに共和政ローマは、ハンニバル・バルカ(B.C.247~B.C.183)との死闘も含め、3度に渡るポエニ戦争(B.C.264~B.C.146)…

19世紀アメリカの天才詩人、エミリー・ディキンソンの傑作50選

生前は全くの無名だった 19世紀、アメリカのマサチューセッツ州アマーストに生き、「世界文学史上の天才詩人」とも謳われるエミリー・ディキンソン(1830~1886)。彼女は人生の大半を生家とその周辺で過ごし、自らの作品をほとんど発表しなかったため、無名…

ローマ人の物語(5)/ハンニバルvsスキピオ カルタゴ滅亡へ

2人の天才が直接対決 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回は第2次ポエニ戦争(B.C.219~B.C.201)前半戦として、ハンニバル・バルカ(B.C.247~B.C.183)によるイタリア半島侵攻を描きまし…

ローマ人の物語(4)/ハンニバル、イタリア半島を蹂躙

ヒスパニアから虎視眈々とローマを狙う 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回の第3巻でローマは、大国カルタゴとの第1次ポエニ戦争(B.C.264~B.C.241)を戦い抜き、見事に勝利を収めました…

ローマ人の物語(3)/大国カルタゴとのポエニ戦争勃発

第1次ポエニ戦争を描く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。第1~2巻では、B.C.753年にローマが建国され、B.C.509年に王政から共和政へと移行した後、B.C.272年にイタリア半島を統一するまでが…

ローマ人の物語(2)/共和政ローマ、イタリア半島統一

都市国家から領域国家へ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回の第1巻でローマは、伝説的建国、7代に渡る王政、共和政への移行を経て、「都市国家」としての体裁を整えました。 今回ご紹介…

ローマ人の物語(1)/古代ローマ建国から共和政成立まで

統治に必要な知識満載の古代ローマ史 B.C.753年の伝説的建国から476年の西ローマ帝国滅亡まで、約1200年間にも及ぶ歴史を誇った古代ローマ。王政、共和政、帝政と政体を変遷させながら地中海世界の覇権を握っていったその歴史を学ぶと、政治、経済、外交、軍…

20世紀の最重要作家ジェイムズ・ジョイスが描いたダブリン

ダブリンの様々な人間模様を描く 「20世紀で最も重要な作家」と称されるジェイムズ・ジョイス(1882~1941)。アイルランド出身である彼の世界的代表作と言えば、同国の首都ダブリンに住む冴えない中年男性の1日を膨大な分量で描いた『ユリシーズ』でしょう…

令和で126代目!考古学から「天皇」の起源を紐解く1冊

「天皇」はどこから来たのか? 平成も残り僅かとなりました。あと数日で新天皇が即位し、令和に改元となります。日本の天皇家は世界でも有数の歴史を誇りますが、その起源についてはよく知らない方が多いのではないでしょうか。 日本の「天皇」はどこから来…

古代ローマ有数の歴史家タキトゥスが描いたゲルマン民族

ローマ帝国の天敵、ゲルマン民族 今から約2000年前の古代、地中海世界全域を支配して栄華を誇ったローマ帝国。その強大なローマであっても、常に警戒を怠ることができなかったのが、北方のゲルマン民族です。ローマ帝国の歴史は、彼らとの戦いに終始したと言…

ユダヤ教誕生の謎に迫る!一神教革命はいかに起こったのか?

ほぼ100%の人が多神教信者だった古代 現在、世界には数えきれないほどの宗教がありますが、ユダヤ教(1300万人)、キリスト教(20億人)、イスラム教(12億人)に代表される「一神教」を信じる人が世界人口の半数を占めます。 しかし古代においては、人類の…

全ての夢追い人必読!サマセット・モーム『月と六ペンス』

19世紀の画家ポール・ゴーギャンがモデル イギリスの小説家ウィリアム・サマセット・モーム(1874~1965)。今回は、彼が1919年に発表し、名声を得るきっかけとなった『月と六ペンス』(岩波文庫)をご紹介します。 本作は、モームがポスト印象派の画家ポー…

ベーシックインカム、1日3時間労働、国境開放が世界を救う?

ベーシックインカムの是非を問う 経済格差の拡大を背景に、ベーシックインカム導入の是非について議論が高まっています。ベーシックインカムは、全ての国民に対して最低限の生活を保障するだけのお金を定期的に直接支給するという政策。これだけ聞くと夢のよ…

文化人類学の名著!レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』

アマゾンに住む「未開」の民族を調査 人類はどのように発展してきたのか、その経緯を文化的な側面から研究するのが文化人類学です。今回は、その文化人類学の名著と称されるレヴィ・ストロース(1908~2009)の『悲しき熱帯』(中公クラシックス)をご紹介し…

「昭和の妖怪」岸信介が語る20世紀の日本史

日本近現代史のリアルが分かる 「昭和の妖怪」との異名を取った人物をご存知でしょうか。 岸信介(1896~1987)。1957~60年にかけて日本の総理大臣を務めた男です。現在首相を務める安倍晋三の祖父にあたり、日韓基本条約批准、非核三原則提唱、沖縄返還な…

マネジメント層必読!ユリウス・カエサル『ガリア戦記』

ビジネスリーダーが推薦する名著 古代ローマの政治家、将軍であり、帝政ローマの事実上の創始者とも言えるユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)。「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」「ブルートゥス、お前もか」など数多くの名言を残したことでも有…

芥川賞作家・田中慎弥が日本人の深層心理をえぐり出す

「もらっといてやる」発言で一躍有名に 2012年に『共喰い』で第146回芥川賞を受賞した田中慎弥さん。授賞式で「私がもらって当然」という趣旨の発言をしたり、「もらっといてやる」などと田中節を炸裂させたりして一躍有名になりました。 しかし、実際には気…

短篇好きなら1度は読んでおきたいモーパッサン15篇

300以上の短篇から15作品を厳選 短篇を手掛けている作家は数多くおりますが、中でも特にオススメしたいのが、「短篇の名手」と言われるフランス人作家ギ・ド・モーパッサン(1850~1893)の作品です。 岩波文庫から『モーパッサン短篇選』が出ておりますので…

直木賞作家・西加奈子も絶賛!ケリー・リンクの短篇9選

SF×ファンタジー×ホラー 2015年に『サラバ!』で第152回直木賞を受賞し、今や人気作家として活躍する西加奈子さん。とあるブックフェアで登壇した彼女が熱く語っていたのが、アメリカの作家ケリー・リンク(1969~)の書いた『マジック・フォー・ビギナーズ…

夏目漱石が『坑夫』で描いた人間の複雑性

明治末期の家出青年が主人公 『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こゝろ』など、数々の名作を残した明治・大正の文豪、夏目漱石(1867~1916)。今回は、彼の作品の中ではあまり知名度が高くないものの、真に迫った人間描写が素晴らしい『坑夫』を紹介します…

ノーベル賞作家パトリック・モディアノが織り成す記憶の芸術

フランスが誇るノーベル賞作家 2014年にノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノ(1945~)。彼はフランスを代表する現代の作家で、1972年にはフランスで最も権威があるとされるアカデミー・フランセーズ賞、1978年には同じくゴンクール賞を受賞して…

キリスト教一強の世界観を問い直した社会史学の名著

学校で習う歴史が全てではない 歴史学の中に「社会史学」という分野があるのをご存知でしょうか。 僕らは学校教育の中で、いわゆる「権力者たちの歴史」である政治史を学んできました。カエサル、ナポレオン、リンカーン…そうした「英雄」が行った戦争や政治…

東大安田講堂攻防戦の当事者が語る学生闘争の歴史的意義

東大安田講堂に籠城した学生たち 今からちょうど50年前の1969年1月19日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂で、全学共闘会議(全共闘)と機動隊との攻防戦が繰り広げられました。 学生闘争のハイライトとも言うべきこの事件の際、実際に安田講堂内に立て籠も…

夭折の天才アレクサンドロス!その生涯を紐解く1冊

20歳からわずか10年で大帝国を建設 古代マケドニア王アレクサンドロス3世(B.C.356~B.C.323)。英語圏では「アレキサンダー大王」と呼ばれ、イスラム圏でも「イスカンダル」の名で親しまれるなど、「古今東西その存在を知らぬ者はいない」と言っても過言で…

イタリアを代表する作家パヴェーゼの「詩的」短篇10選

反ファシズム作家の遺稿から作品を厳選 文学に触れる際、長篇と短篇で好みが分かれます。もちろん、それぞれの良さがありますが、短篇はその短さから、内容の凝縮率が高く、何度も繰り返して読みやすいのが特長です。僕なんかは本を読むのが遅いので、少し得…