5大国宝城跡にして現存12天守の1つ
島根県を旅行する上で、出雲大社と共に欠かせないのが松江城です。日本国内に現存する12天守の1つであり、2015年7月には城跡の天守として63年ぶりに国宝に指定されました。
日本の天守で国宝となっているのは、他に姫路城、松本城、彦根城、犬山城の4城のみ。当然ながら、公益財団法人日本城郭協会が選んだ「日本100名城」にも指定されています。
今回は、そんな松江城の歴史と魅力をご紹介しましょう。城へのアクセスや営業時間、「日本100名城」スタンプ設置場所など、基本情報のみ知りたい方は、最後の「まとめ」に記載しておきましたので、そちらをどうぞ!
宍道湖と中海に挟まれた出雲経済の要衝
松江城は小ぢんまりとした美しい天守を持つ城です。その築城の歴史を紐解くには、約400年前に遡らねばなりません。
1600年、関ヶ原の戦いの折、徳川家康率いる東軍に加担した堀尾忠氏(1578~1604)は、その功績により遠江浜松12万石から隠岐・出雲24万石に加増転封されました。出雲松江藩の誕生です。
それまで出雲の中心的城郭と言えば、戦国時代に山陰を制した尼子氏の居城であった月山富田城でした。しかし、この城は当然戦争を想定して建てられた山城ですので、交通の便は悪いと言わざるを得ません。
そこで忠氏は江戸幕府から許可を取り、宍道湖と中海の水運を効率的に活用することのできる松江の地に新たな城を作ることとしました。
忠氏は1604年に亡くなってしまいますが、父の堀尾吉晴(1543~1611)と息子で出雲松江藩第2代藩主の堀尾忠晴(1599~1633)が跡を継ぎ、1607年には築城を開始。1611年に無事落成し、出雲の中心地は松江に移ることとなります。
このように、松江城は江戸幕府の成立後、平和になってから政庁として築造された面が大きいため、日本の城郭の中でもかなり行きやすい場所にあります。JR山陰本線の松江駅からバスで10分という好立地で、険しい山道を登る必要も全くありませんので、体力に自信の無い方にもオススメです。
廃藩置県で天守棄却の危機に陥る
そんな松江城ですが、1871年の廃藩置県で廃城とされ、1873年には天守を除く建物は払い下げられてしまいました。天守も棄却の危機に陥りましたが、有志によって買い戻され、保存されることとなって今に至ります。
この出来事が無ければ、国宝指定はおろか、現在は石垣の跡くらいしか見られなかったかもしれませんね。史跡を守ってくれた先人たちに感謝です。
皇太子時代の大正天皇も訪れた興雲閣
松江城の敷地内には、興雲閣という擬洋風建築のお洒落な迎賓館もあります。こちらは1903年、明治天皇行幸時の御宿所として建設されました。残念ながら、明治天皇の行幸は実現しませんでしたが、1907年5月に当時の皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)が行啓し、当館を宿泊施設として使用しました。
ちなみに、嘉仁親王は同じ行程でお隣の鳥取にも行啓しており、その際に鳥取城には仁風閣という洋館が建てられました。仁風閣の館名は、親王に随行した元帥海軍大将の東郷平八郎が名付け、現在は国の重要文化財に指定されています。
松江城まとめ
①築城者
堀尾忠氏(出雲松江藩初代藩主)
※実際に築城を指揮したのは堀尾吉晴、堀尾忠晴
②築城年
1607年築城開始、1611年落成
③住所
〒690-0887 島根県松江市殿町城山1-5
④電話番号
0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
0852-23-5470(ぶらっと松江 観光案内所)
⑤営業時間
・登閣時間
4月1日~9月30日:8:30~18:30(登閣受付は18:00まで)
10月1日~3月31日:8:30~17:00(登閣受付は16:30まで)
・本丸開放時間
4月1日~9月30日:7:00~19:30
10月1日~3月31日:8:30~17:00
⑥定休日
年中無休
⑦登閣料
大人:670円/小人:280円/外国人:330円(小人140円)
※小人は小・中学生
団体料金(30名以上に適用)や、小泉八雲記念館、松江歴史館などとの各種共通券についてはこちらのサイトを参照ください。
⑧アクセス
・JR山陰本線「松江駅」からレイクラインバス10分、松江城「大手前」下車
・一畑電鉄「松江しんじ湖温泉駅」から徒歩20分
・一畑電鉄「松江しんじ湖温泉駅」から市営バス(北循環線内回り)5分、「県庁前下車」徒歩5分
⑨駐車場
周辺駐車場がいくつかありますので、こちらのサイトを参照ください。
⑩日本100名城スタンプ設置場所
松江城天守内受付窓口