ペット初心者にオススメ!かわいくて飼いやすいミシシッピニオイガメ

半年に及ぶ自問自答の末…

 ペットを飼って癒されたいけれど、ちゃんと育てられるか心配…。そんな方は多いのではないでしょうか。具体的には、「育て方が難しそう」「お金がかかる」「お世話の時間が取れない」などが懸念として挙げられると思います。

 確かに「動物を飼う」とは命を扱うということですので、安易に判断するのは禁物です。飼うからには最後まで面倒を見るのが飼育者の責務ですし、「仕事で忙しい」「長期で旅行したい」といった自分の都合でお世話を放棄するような身勝手は決して許されません。

 かく言う僕も、小学校時代に金魚やカエル、ミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)などを飼っていましたが、結局は父にお世話を任せ切りにした「前科」があります。そのため、本当に自分に動物を飼うことができるのか、半年ほど自問自答を繰り返しました。

 そうした中で様々な動物について調べた末、飼うことを決めたのがミシシッピニオイガメです。アメリカやカナダに生息している外来種で、危険を感じると匂いを放つため、この名が付いています。ただ、適切な方法で飼育する限り、この匂いを嗅ぐことはないでしょう。

 では、なぜ数ある動物の中からミシシッピニオイガメを選んだのか。いくつか理由がありますので、一つずつ見ていきましょう。なお、最後の「まとめ」に要点だけ記載しておきましたので、お時間がない方はこちらをご覧いただければ幸いです。

最大甲長13cmの小型種

 ペットを飼うに当たってまず気になるのが、その大きさです。室内で放し飼いできる種類の動物ならいざ知らず、ケージや水槽に入れて飼育する場合、成体になった際の体長が大きいと、それに見合ったおうちを用意してあげなければストレスがかかってしまいます。

 その点、ミシシッピニオイガメは最大でも甲長13cm程度にしかなりませんので、かなり余裕を見ても、水槽の「横幅×奥行×高さ」は「60cm×30cm×30cm」あれば問題ないでしょう。一人暮らし用のワンルームマンションでも十分に飼えます。

 僕の場合、2022年1月に甲長2.5cmの幼体から育て始め、2022年4月末現在でまだ甲長5cmの子ガメですので、水槽の大きさは「39.5cm×25.5cm×18.8cm」のもので間に合っています。成体時の甲長が10cm程度にしかならない個体もいるので、様子を見ながら、水槽を買い替えるかどうか決めるつもりです。

 水生ガメの中でもペットとして飼われることの多いミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は甲長30cm、クサガメ(ゼニガメ)は甲長25cm、ニホンイシガメも甲長22cmまで成長することを考えると、ミシシッピニオイガメがいかに小型か分かります。

平均寿命15~20年の長寿生物

 せっかくペットを飼うからには、長い間一緒にいたいと思うもの。ミシシッピニオイガメは、そんな願いも叶えてくれます。「亀は万年」という諺がある通り、カメは長寿な生き物。ミシシッピニオイガメも例に漏れず、その寿命は15~20年と言われています。大事に育てれば、最長で25年生きる場合もあり、四半世紀をともに過ごすことができます。

「亀は万年」の諺は伊達ではない

 ただ、長寿ということは、それだけ長い間お世話をせねばならないということでもあります。そこまで含めてしっかりとした覚悟を持ち、飼育するかどうか決めましょう。

 僕が動物を飼いたいと思った一番の理由は、「飼育を通じて生き物と信頼関係を築きたい」という欲求が高まったためですので、じっくりと末永く育てていければと考えています。

2日に1度の食事、週1の水替えでOK

 ペットの飼育を検討する上で一番のハードルとなるのは、「お世話の大変さ」でしょう。多忙な日々を送りながら、毎日のように構ってあげられる自信がないという方は多いと思います。

 ミシシッピニオイガメは、そうした忙しい中でも比較的に飼いやすい生き物です。水槽、ヒーター、フィルター、紫外線ライトといった必要な設備さえ整えてしまえば、飼育の上でせねばならないのは「食事を与えること」「水槽の水を替えること」の2つだけです。

 ご飯は、成長期には1日に2~3度あげる必要がありますが、成体になれば2日に1回で十分です。カメは絶食に強く、むしろ肥満になると内臓が圧迫されて様々な病気を併発しやすくなるため、食事は少し抑え気味くらいがちょうど良いでしょう。

カメにとって肥満は万病の元

 水替えは週に1回でも良いそうですが、僕は念のため3~5日に1回の頻度で行っています。フィルターが機能しているほか、人工飼料がカメの腸内環境を整えてくれるので、4~5日程度では水が目に見えて濁ることはありません。ただ、ミシシッピニオイガメは綺麗な水を好むため、できることなら毎日水を替えてあげると喜んでくれます。

 特に夏場は暑さで水が悪くなりやすいので、冬よりも水替えの頻度を高めた方が無難です。僕たち人間の目で見れば水が濁っていなくても、ミシシッピニオイガメにとっては汚くなっているケースもあります。その場合、カメは水を飲まなくなり、水の中にいながら脱水症になってしまうため、注意が必要です。

 したがって、強いて言えば、ミシシッピニオイガメを育てる中で唯一大変なのが水替えということになるのでしょうが、これを苦に感じる方は、おそらく他の動物を育てるのも難しいと思います。

水が綺麗だとごくごく飲む

 ミシシッピニオイガメは大人しい性格で、噛みつくことはまずありません。鳴いたり騒いだりもしません。水替えにあたって持ち上げた際、引っ掻くことはありますが、鋭利な爪ではないため、痛くもかゆくもない。基本的には水中で気持ち良さそうに泳いでいます。

 散歩をさせる必要がなく、部屋のものを引っ掻いたりかじったりすることもなく、鳴くこともない。きちんと水替えさえしていれば、それが水分補給と排泄物の掃除を兼ねています。他の動物と比べれば、お世話はかなり楽な生き物と言えるでしょう。

初期費用2万円で飼育可能

 ミシシッピニオイガメは、飼育にお金がかからない動物でもあります。本気でペットを飼いたいと考えている方は、お金など度外視で、一緒にいたい生き物を選ぶと思いますが、当然お金がかからないに越したことはないでしょう。

 飼育のため最初に必要となるのは、水槽、浮島、ヒーター、フィルター、水温計、紫外線ライト、バスキングライト、人工飼料といったところ。これらを全て購入した場合の費用は1万5000円程度です。参考までに、僕が購入した商品は下記の通り。

①水槽&浮島&フィルターのセット(3880円)

②ヒーター(2393円)

③水温計(178円)

④紫外線ライト(1773円+1960円)

⑤バスキングライト(4219円)

⑥人工飼料(790円)

 ペットショップやホームセンターで販売されているミシシッピニオイガメの生体は5000~6000円程度ですので、上記の設備と合わせて初期費用は2万円程度と見ておけば間違いありません。

 固定費としてかかるのは、人工飼料代、水替えの際の水道代、ヒーターやライトの電気代というところでしょう。人工飼料は一度買えば半年はもちますので、月額換算で100~200円程度。水道代と電気代も、ミシシッピニオイガメを飼い始めて跳ね上がった印象は全くありませんので、誤差の範囲内です。ミシシッピニオイガメは懐にも優しいペットと言えます。

愛くるしい“エサくれダンス”

 僕の主観が入ってしまい恐縮ですが、ミシシッピニオイガメはとてもかわいい生き物です。おっとりとしていて、丸みを帯びたチャーミングな甲羅を優しく撫でると、気持ち良さそうに手のひらの上で眠ることもあります。

 一般的に「爬虫類は人に懐くのではなく慣れる」と言われますが、特にミシシッピニオイガメは人に対する警戒心を解くのが早い種族のようです。うちのミシシッピニオイガメは、僕が水槽に近寄るとスーッと泳いできて、水槽のきわで一生懸命ご飯をねだるのですが、この通称“エサくれダンス”の様子は、多くの飼育者さんのブログやYouTubeでも見ることができます。その愛くるしいこと、この上ありません。

まとめ

 今回はミシシッピニオイガメの魅力について紹介してきました。改めて、僕が数ある動物の中から選んで飼育を決めた理由は、下記の通りです。

①小型種のため小さな水槽でも飼育可能
②長生きなのでずっと一緒にいられる
③他の動物と比べてお世話が簡単
④飼育にお金がほとんどかからない
⑤とにかくかわいい!

 ペットを飼いたいと考えている方にとって、候補の動物を「かわいい」「魅力的だ」と感じているというのは大前提でしょう。もしミシシッピニオイガメに関心がなかった方も、この記事をきっかけに色々と調べてみていただければ嬉しく思います。

 もしミシシッピニオイガメに興味を持っていただいた方は、下記の記事で詳細な飼育方法も紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 また、ミシシッピニオイガメがどの程度の早さで成長するのか知りたい方は、2週間置きに測定した甲長と体重のデータを公開しておりますので、下記の記事を参考にしてみてください。