現役編集者直伝!誰でも簡単に実践できる校閲・校正テクニック

文中からミスを一掃しよう

 日々生活していると、文章を書く機会って意外に多いですよね。僕のように執筆・編集を職業としていなくても、仕事でメールを打ったり、資料を作成したりする方は少なくないと思います。

 もし文面に誤りがあったとしても、SNS投稿や友人とのLINEであれば訂正が利きますし、誰かに迷惑がかかることは無いでしょう。しかし、仕事で他社の方とメールのやり取りをする場合、相手の社名や氏名などを間違えてしまうと、信頼に関わることもあります。

 もちろん人間ですから間違いは付き物ですし、既に何度も顔を突き合わせている間柄であれば、大問題とはならずに済むケースも多いと思います。ただ、状況や相手によっては「誠意の欠如」と受け取られかねません。できることなら、ミスは極力無くしたいところですよね。

 そこで今回は、10年近く校閲・校正を仕事としてきた現役の編集者として、どのように文中のミスを発見しているのか、どんな方でも今日から簡単に実践できる方法をご紹介します。

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一字一句音読する

 文中の誤字・脱字を発見するのに有効な方法が音読です。できれば小さくとも声に出した方が良いのですが、社内で1人ぶつぶつ言っていると不審がられるという方は、心の中でも構いません。作成したメールや文書を、一字一句しっかり音読しましょう。

 特に読むのが速い方は、文章を流し読みしがちです。音読をすると、どうしても読むのは遅くなりますが、流し読みでは発見できない初歩的な誤字・脱字を圧倒的に見つけられるようになります

 最初と最後の文字が正しいと、中の文字の並びが変わっていても読めてしまうと言います。したがって、文章の大意を掴むという意味では流し読みでも十分ですが、もし細かいミスまで高い精度で発見したければ、確実に音読した方が良いでしょう。

 音読には副次的な効果もあります。文中で同じ助詞が連続していたり、語尾が「~です」で終わる文章が3回も4回も続いたりすると、なんとなくカッコ悪いですし、スラスラ読みにくいですよね。こうした文章の内容とは関係の無い「語感における違和感」にも、音読によって気付くことができます。

 ちなみに僕は、自身の原稿を書き上げた後、必ず2回は全文を音読します。他の方の原稿を校閲・校正する際も、当然音読。校正を終えた後も、その修正が周辺の語感に悪い影響を与えていないか確かめるため、該当部分だけでも音読。このような具合ですから、1つの原稿でも相当な時間がかかりますが、その分の精度は出せていると思います。

固有名詞が出てきた瞬間に確認

 音読は、文章の誤植を見つける際に有効な手段でした。一方、内容自体の誤りをあぶり出す上では、固有名詞などが出てきた瞬間に問答無用で真偽を確かめることをオススメします。

 例えば、会社で資料作成に携わっているとしたら、商品の名称、発売の日程、関係者の氏名と肩書き、販売状況の数字データなど、絶対に間違えてはならない重要な部分があるはずです。そうした事実の確認だけでも、改めて行った方が良いでしょう。とてつもなく当たり前のことなのですが、これを徹底するか否かで雲泥の差が生まれます。

「もう何度も見たから大丈夫だろう」「他の人も目を通しているから間違いないはず」といった油断と過信がミスの元です。僕も雑誌の校閲・校正をする際には、たとえどんなに実績のある経営者やプロの記者が書いた寄稿原稿でも、固有名詞から年号に至るまで全て確認します。「まさかこの人がこの用語を間違えるわけがない」という先入観こそ敵なのです。

たった2つの意識で文章が劇的改善!

 一字一句逃さぬ音読と徹底した事実確認。このたった2つを意識するだけで、文章の精度は格段に向上します。まさに、誰でも今すぐ簡単に実践できる方法ですから、行わない手はありません。

 ただ、時間との戦いを強いられる状況もあるでしょう。できる限り速やかにメールを打たねばならなかったり、突然入った会議のために資料を作成せねばならなかったり…。そんな時には、何を最も優先すべきか考えて行動することも重要です

 今回ご紹介した校閲・校正の手法は、誤字・脱字や事実誤認の防止を主眼に据えています。間違えが絶対に許されない資料やメールを作成することになった際、思い起こしていただければ幸いです。

 さて、このブログの記事も2回ほど音読してから投稿することとしましょう笑