読書

日本三大ドヤ街の一角/横浜の一等地を占める「寿町」の実像に迫るルポ

日本三大ドヤ街に数えられる「寿町」 皆さんは「寿町」という地名をご存じでしょうか。横浜市中区に位置し、横浜中華街、横浜スタジアム、元町、山手(洋館が並ぶ歴史地区)といった観光名所から目と鼻の先にある一角で、ドヤ街として知られています。 念の…

江戸時代初期の四国各所が舞台/連作短編集『義商一人』好評発売中!

歴史小説『義商一人』Amazonで発売 皆さん、歴史には興味がおありでしょうか。小説は読まれますか。僕はその両方が大好きで、自身でもペンネーム川崎史英(かわさき しえい)名義で歴史小説を執筆しております。X(旧Twitter):@A_Kawasaki1926Instagram:a…

分子生物学者が“生命の不思議”を丁寧に解説/福岡伸一『新版 動的平衡』

日常の疑問に分子生物学者が答える 大人になると、なぜ時間が経つのを早く感じるようになるのか。効率の良いダイエット方法はないものか。コラーゲン配合の食物を摂ると、本当に肌の張りが戻るのか――。 こうした日常的な疑問に生物学者の立場から答えつつ、…

文豪・森鷗外が著した“史伝”の代表作『渋江抽斎』

明治~大正時代にかけて活躍した文豪として名高い森鷗外(1862~1922)。東京医学校(現在の東京大学医学部)を卒業して、軍医として勤務していたこともよく知られています。 作品としては『舞姫』『高瀬舟』『山椒大夫』などが有名ですが、晩年は実在する人…

大江健三郎『万延元年のフットボール』/ノーベル賞作家の描く“罪と罰”

早熟な新進作家として文壇に立つ 日本人2人目となるノーベル文学賞の受賞作家として知られる大江健三郎(1935~2023)。今年3月に亡くなったことで改めて注目が集まり、追悼コーナーが設けられている書店もあります(2023年6月末現在)。 大江は1958年、東京…

組織研究の名著『失敗の本質』/旧日本軍の敗北から学ぶべき真理とは?

現代まで踏襲された旧日本軍の悪弊 日々働いていると、誰もが勤め先で、次のような事象を目の当たりにした経験があるのではないでしょうか。・合理性よりも私情を優先した意思決定がなされる・曖昧な推測や感覚に基づいて判断が行われる・上司に都合の良いこ…

ローマ人の物語(26)/空前絶後の平和到来!五賢帝アントニヌス・ピウス

歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、3人目の「五賢帝」ハドリアヌス(76~138、在位117~138)の治世前半が描かれました。 今回紹介する『ローマ人の物語(26)賢帝の世紀(下)』(…

ローマ人の物語(25)/五賢帝ハドリアヌス、治世を帝国全土の行脚に捧ぐ

歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国の最大版図を実現し、元老院より「至高の皇帝」との称号を贈られた「五賢帝」トラヤヌス(53~117、在位98~117)について見ていきま…

ローマ人の物語(24)/帝国最大版図を実現!五賢帝トラヤヌス(下)

歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回は、トラヤヌス(53~117、在位98~117)が皇帝に就いた経緯と、彼の治世における最も華々しい“成果”であるダキア戦役について語りました。 今回は一転…

ローマ人の物語(24)/帝国最大版図を実現!五賢帝トラヤヌス(上)

“中継ぎ”の老皇帝ネルヴァ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ティトゥス(39~81、在位79~81)、ドミティアヌス(51~96、在位81~96)の兄弟皇帝による統治を描きました。 後世…

脱経済成長か、世界の破滅か/斎藤幸平『人新世の「資本論」』(後編)

世界的な注目を集める哲学者、斎藤幸平氏の著書『人新世の「資本論」』(集英社新書)。未曾有の気候変動に際し、人類が破滅を避けるための解として1つの選択肢を提供しています。 人新世の「資本論」 (集英社新書) 作者:斎藤幸平 集英社 Amazon 中編では、…

露呈した資本主義の“限界”/斎藤幸平『人新世の「資本論」』(中編)

世界的な注目を集める哲学者、斎藤幸平氏の著書『人新世の「資本論」』(集英社新書)。未曾有の気候変動に際し、人類が破滅を避けるための解として1つの選択肢を提供しています。 人新世の「資本論」 (集英社新書) 作者:斎藤幸平 集英社 Amazon 前編では、…

脱・資本主義が地球を救う?/斎藤幸平『人新世の「資本論」』(前編)

環境問題を解決する唯一の方法とは? 現在、人類全体の共通課題となっている気候変動問題。「人間による活動の痕跡が地表を覆い尽くした時代」という意味の「人新世」なる言葉が生まれるほど、人類は地球に対して多大な影響を及ぼしており、それによって遠く…

ローマ人の物語(23)/五賢帝時代への架け橋となった皇帝兄弟

ウェスパシアヌスの跡を継いだ息子たち 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第5代皇帝ネロ(37~68、在位54~68)の死後、内乱状態に陥っていたローマ帝国を再建し、国家を衰亡の危…

ローマ人の物語(22)/皇帝ウェスパシアヌス、帝国を衰亡から救う(下)

ウェスパシアヌスの国家再建策とは 内戦状態にあったローマ帝国を衰亡の危機から救った第9代皇帝ティトゥス・フラウィウス・ウェスパシアヌス(9~79、在位69~79)。前回は、彼が帝国内外の混乱を収拾し、名実ともに皇帝の座に就くまでを描きました。 今回…

ローマ人の物語(22)/皇帝ウェスパシアヌス、帝国を衰亡から救う(上)

衰亡の危機を向かえたローマ帝国 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では「暴君」と言われた第5代皇帝ネロ(37~68、在位54~68)の死後、たった1年の間に目まぐるしく入れ替わった3人の…

第1回日本翻訳大賞「読者賞」受賞/『ストーナー』の魅力に迫る

50年の忘却から掘り起こされた小説 世の中には小説が溢れています。紀伊國屋や丸善といった大手書店はもちろん、街角の小さな本屋に置いてあるものだけでも、その全てを読み切ることは出来ないでしょう。多くの作品が、出版されながらも陽の目を見ないまま、…

ローマ人の物語(21)/1年半の間に即位しては倒れた3人の皇帝たち

ネロの死がもたらした混沌 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、「暴君」と言われた第5代皇帝ネロ(37~68、在位54~68)の治世を描きました。 さて、治世前半は「善政を敷いていた」…

ナチス・ドイツによってホロコーストが起きた過程を徹底解剖

ホロコーストを紐解く 2020年1月27日は、アウシュヴィッツ強制収容所が解放されて75年という節目になります。第2次世界大戦(1939~1945)の戦時下、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った大量虐殺(ホロコースト)の代名詞として、アウシュヴィッツの名を…

ローマ人の物語(20)/第5代皇帝ネロ、若き暴君の実像とは?

「暴君」と呼ばれたネロの治世 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第4代皇帝クラウディウス(B.C.10~54、在位41~54)の治世を描きました。 さて、今回紹介する『ローマ人の物語(…

ローマ人の物語(19)/第4代皇帝クラウディウスの善政と悲劇

思いがけず帝位に就く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第2代皇帝ティベリウス(B.C.42~37)の治世後期(27~37)から、第3代皇帝カリグラ(12~41、在位37~41)の治世にかけて…

ローマ人の物語(18)/第3代皇帝カリグラの浪費と財政破綻

ティベリウスからカリグラへ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第2代皇帝ティベリウス(B.C.42~37)の治世前半(14~27)を描きました。 ティベリウスは初代皇帝アウグストゥス(…

夏目漱石が芸術論を展開した小説『草枕』

国民的作家、夏目漱石の純文学 『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こゝろ』など、数々の名作で知られる明治・大正の文豪、夏目漱石(1867~1916)。1984~2004年にかけて1000円札の肖像となるなど、国民的作家と言って良いでしょう。 今回は、そんな彼が自…

ローマ人の物語(17)/第2代皇帝ティベリウス、帝国の基礎を固める

アウグストゥスの後継者たち 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(B.C.63~14)の治世後期(B.C.5~14)が描かれました。 帝政の創始から定着に向…

ローマ人の物語(16)/初代皇帝アウグストゥス、苦悩の晩年

アウグストゥス、老境に入る 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(B.C.63~14)の治世中期(B.C.18~B.C.6)が描かれました。 今回ご紹介する『ロ…

ローマ人の物語(15)/アウグストゥスによる「パクス・ロマーナ」

帝政ローマは軌道に乗るのか 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝の座に就いたオクタヴィアヌス改めアウグストゥス(B.C.63~14)の治世前期(B.C.29~B.C.19)が…

村上春樹が書いた地下鉄サリン事件/被害者60名の証言録

世界に衝撃を与えた無差別化学テロ事件 1995年3月20日、東京を走る5本の地下鉄車内に猛毒のサリンが撒かれ、13人が死亡、約6300人が重軽傷を負う事件が起こりました。正式名称「地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件」、通称「地下鉄サリン事件」です。 化学兵…

ローマ人の物語(14)/アウグストゥス、巧妙なる帝政移行

アウグストゥスの治世前期を描く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)の暗殺によって再燃した内乱をオクタヴィアヌス(B.C.63~14…

ローマ人の物語(13)/カエサルの死からアウグストゥスの帝政創始へ

内乱の一世紀、ついに終結 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が元老院派の残党を一掃した後、終身独裁官に就任して国家改造に取…

ヴィヴァルディ、ヘンデル、スカルラッティが文学の世界で夢の共演!

ラテンアメリカ文学の先駆者 ラテンアメリカ文学の代表的作家と言えば、ノーベル文学賞の受賞者として、コロンビアのガブリエル・ガルシア・マルケス(1928~2014)やペルーのマリオ・バルガス・リョサ(1936~)がよく挙げられます。 しかし、彼らの先駆的…