読書

第1回日本翻訳大賞「読者賞」受賞/『ストーナー』の魅力に迫る

50年の忘却から掘り起こされた小説 世の中には小説が溢れています。紀伊國屋や丸善といった大手書店はもちろん、街角の小さな本屋に置いてあるものだけでも、その全てを読み切ることは出来ないでしょう。多くの作品が、出版されながらも陽の目を見ないまま、…

ローマ人の物語(21)/1年半の間に即位しては倒れた3人の皇帝たち

ネロの死がもたらした混沌 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、「暴君」とも言われた第5代皇帝ネロ(37~68、在位54~68)の治世を描きました。 さて、特に治世前半は善政を敷いたと…

ナチス・ドイツによってホロコーストが起きた過程を徹底解剖

ホロコーストを紐解く 2020年1月27日は、アウシュヴィッツ強制収容所が解放されて75年という節目になります。第2次世界大戦(1939~1945)の戦時下、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った大量虐殺(ホロコースト)の代名詞として、アウシュヴィッツの名を…

ローマ人の物語(20)/第5代皇帝ネロ、若き暴君の実像とは?

「暴君」と呼ばれたネロの治世 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第4代皇帝クラウディウス(B.C.10~54、在位41~54)の治世を描きました。 さて、今回紹介する『ローマ人の物語(…

ローマ人の物語(19)/第4代皇帝クラウディウスの善政と悲劇

思いがけず帝位に就く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第2代皇帝ティベリウス(B.C.42~37)の治世後期(27~37)から、第3代皇帝カリグラ(12~41、在位37~41)の治世にかけて…

ローマ人の物語(18)/第3代皇帝カリグラの浪費と財政破綻

ティベリウスからカリグラへ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、第2代皇帝ティベリウス(B.C.42~37)の治世前半(14~27)を描きました。 ティベリウスは初代皇帝アウグストゥス(…

夏目漱石が芸術論を展開した小説『草枕』

国民的作家、夏目漱石の純文学 『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こゝろ』など、数々の名作で知られる明治・大正の文豪、夏目漱石(1867~1916)。1984~2004年にかけて1000円札の肖像となるなど、国民的作家と言って良いでしょう。 今回は、そんな彼が自…

ローマ人の物語(17)/第2代皇帝ティベリウス、帝国の基礎を固める

アウグストゥスの後継者たち 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(B.C.63~14)の治世後期(B.C.5~14)が描かれました。 帝政の創始から定着に向…

ローマ人の物語(16)/初代皇帝アウグストゥス、苦悩の晩年

アウグストゥス、老境に入る 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス(B.C.63~14)の治世中期(B.C.18~B.C.6)が描かれました。 今回ご紹介する『ロ…

ローマ人の物語(15)/アウグストゥスによる「パクス・ロマーナ」

帝政ローマは軌道に乗るのか 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ローマ帝国初代皇帝の座に就いたオクタヴィアヌス改めアウグストゥス(B.C.63~14)の治世前期(B.C.29~B.C.19)が…

村上春樹が書いた地下鉄サリン事件/被害者60名の証言録

世界に衝撃を与えた無差別化学テロ事件 1995年3月20日、東京を走る5本の地下鉄車内に猛毒のサリンが撒かれ、13人が死亡、約6300人が重軽傷を負う事件が起こりました。正式名称「地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件」、通称「地下鉄サリン事件」です。 化学兵…

ローマ人の物語(14)/アウグストゥス、巧妙なる帝政移行

アウグストゥスの治世前期を描く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)の暗殺によって再燃した内乱をオクタヴィアヌス(B.C.63~14…

ローマ人の物語(13)/カエサルの死からアウグストゥスの帝政創始へ

内乱の一世紀、ついに終結 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻では、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が元老院派の残党を一掃した後、終身独裁官に就任して国家改造に取…

ヴィヴァルディ、ヘンデル、スカルラッティが文学の世界で夢の共演!

ラテンアメリカ文学の先駆者 ラテンアメリカ文学の代表的作家と言えば、ノーベル文学賞の受賞者として、コロンビアのガブリエル・ガルシア・マルケス(1928~2014)やペルーのマリオ・バルガス・リョサ(1936~)がよく挙げられます。 しかし、彼らの先駆的…

ローマ人の物語(12)/カエサル、帝政ローマへの布石を打つ

カエサルによる国家改造を描く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻ではガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が、かつての盟友グナエウス・ポンペイウス(B.C.106~B.C.48)と…

ノーベル賞作家バルガス・リョサが描いた祖国ペルーと社会主義革命

ペルーが誇るノーベル賞作家 空中都市マチュ・ピチュやナスカの地上絵などで有名なペルー。南米の中では、ブラジルやアルゼンチンと並んで日本人に馴染みの深い国ではないでしょうか。 僕も大学時代、2012年2~3月にかけて南米を周遊した際、ペルーを訪れま…

ローマ人の物語(11)/決戦!カエサルvsポンペイウス

内乱の一世紀、終わりの始まり 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前巻ではついに、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が軍団を率いてルビコン川を渡り、共和政ローマと元老院…

アウシュヴィッツ強制収容所長ルドルフ・ヘスの数奇な生涯

ホロコーストを加害者側から紐解く 世界史に詳しくなくとも、「アウシュヴィッツ」の名に全く聞き覚えが無いという方は少数派でしょう。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った大量虐殺(ホロコースト)において、中心的役割を果たしたア…

ローマ人の物語(10)/賽は投げられた!カエサル、ルビコン渡河

革命前夜の共和政ローマ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。遅咲きの英雄ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)も、40代にして跳躍を開始。三頭政治とガリア属州総督就任で権力と…

ローマ人の物語(9)/カエサル、三頭政治とガリア遠征で跳躍

天才カエサル、ついに動く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回から、ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)の生涯を追っています。「ローマが生んだ創造的天才」とまで呼ばれ…

ローマ人の物語(8)/遅咲きの英雄ユリウス・カエサル

内乱の一世紀に天才現る 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。今回からついに、ローマが生んだ創造的天才ガイウス・ユリウス・カエサル(B.C.100~B.C.44)が登場します。 共和政ローマでは、カ…

ローマ人の物語(7)/スッラの独裁とポンペイウスの飛躍

共和政ローマ、混迷を極める 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。カルタゴとのポエニ戦争(B.C.264~B.C.146)の後、拡大する国内の経済格差を是正すべく、共和政ローマでは多くの人々が立ち上…

ローマ人の物語(6)/グラックス兄弟の改革とマリウスの登場

覇権国家ローマを蝕む歪み 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回までに共和政ローマは、ハンニバル・バルカ(B.C.247~B.C.183)との死闘も含め、3度に渡るポエニ戦争(B.C.264~B.C.146)…

19世紀アメリカの天才詩人、エミリー・ディキンソンの傑作50選

生前は全くの無名だった 19世紀、アメリカのマサチューセッツ州アマーストに生き、「世界文学史上の天才詩人」とも謳われるエミリー・ディキンソン(1830~1886)。彼女は人生の大半を生家とその周辺で過ごし、自らの作品をほとんど発表しなかったため、無名…

ローマ人の物語(5)/ハンニバルvsスキピオ カルタゴ滅亡へ

2人の天才が直接対決 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回は第2次ポエニ戦争(B.C.219~B.C.201)前半戦として、ハンニバル・バルカ(B.C.247~B.C.183)によるイタリア半島侵攻を描きまし…

ローマ人の物語(4)/ハンニバル、イタリア半島を蹂躙

ヒスパニアから虎視眈々とローマを狙う 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回の第3巻でローマは、大国カルタゴとの第1次ポエニ戦争(B.C.264~B.C.241)を戦い抜き、見事に勝利を収めました…

ローマ人の物語(3)/大国カルタゴとのポエニ戦争勃発

第1次ポエニ戦争を描く 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。第1~2巻では、B.C.753年にローマが建国され、B.C.509年に王政から共和政へと移行した後、B.C.272年にイタリア半島を統一するまでが…

ローマ人の物語(2)/共和政ローマ、イタリア半島統一

都市国家から領域国家へ 歴史作家、塩野七生による大長編『ローマ人の物語』(新潮文庫)全43巻を紹介していくこのコーナー。前回の第1巻でローマは、伝説的建国、7代に渡る王政、共和政への移行を経て、「都市国家」としての体裁を整えました。 今回ご紹介…

ローマ人の物語(1)/古代ローマ建国から共和政成立まで

統治に必要な知識満載の古代ローマ史 B.C.753年の伝説的建国から476年の西ローマ帝国滅亡まで、約1200年間にも及ぶ歴史を誇った古代ローマ。王政、共和政、帝政と政体を変遷させながら地中海世界の覇権を握っていったその歴史を学ぶと、政治、経済、外交、軍…

20世紀の最重要作家ジェイムズ・ジョイスが描いたダブリン

ダブリンの様々な人間模様を描く 「20世紀で最も重要な作家」と称されるジェイムズ・ジョイス(1882~1941)。アイルランド出身である彼の世界的代表作と言えば、同国の首都ダブリンに住む冴えない中年男性の1日を膨大な分量で描いた『ユリシーズ』でしょう…